御門真綾に出会ったのは、学園に来てすぐ、それも、電車から降りた直後のことだ。
彼女は、駅のホームでおなかをすかせていた。
日が傾きかけるまで、電車に乗り続けることになるとは思っていなかったらしい。
私もそうだったのだが、お弁当を持ってきていたので、それを二人で分けて食べた。
彼女が「おいしいわね」と口の周りに御飯粒をつけながらいってくれたので、
その瞬間から、私たちは学園最初の友人になった。
彼女を「マーヤ」と呼び、彼女に「りくと」と呼ばれる。それだけのことがとても嬉しい。
そんな彼女は最近、土蜘蛛同士で作った新進の結社に属したようで、
楽しそうに忙しく飛び回っている。とても、よいことだ。
私も彼女も、ここで今、自分のやるべき事を探している。私たちなりに懸命に探している。
それに相応しい素敵な出会いが、私たち二人に訪れますように。
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