「夢をかなえよう」そう思って、屋上にのぼった。
鎖付きの棘鉄球はちゃんとあったのだ。『従属種ヴァンパイア』の装備品として。
アビリティをみても、本業であるファイアフォックスとの相性はいい。迷う要素はどこにもなかった。
屋上に行って、言われるがままに目をつぶると、冷たい液体を頭から振りかけられる。
この匂いは、血液。私が被ってきた血は常に生暖かい返り血ばかりだったので、少し新鮮だ。
そして、目を開ける。私は従属種ヴァンパイアの力を身につけていた。
その日の夜、さっそく「レベル33鎖付き棘鉄球」を装備し、裏庭で振るってみる。
自分の思ったところに、棘の鉄球が風を切り裂きながら、自在に飛んでいく。
鎖が「ジャッ」と鳴って、伸び切る瞬間がとても気に入る。
夢がかなったのは、これがはじめて。こんなに清清しいものかと思った。
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