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「サイキックハーツ」のプレイングノート。
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人間とは実に現金なものだ。
最初に目にした時にはあれだけ落胆した『鉄球』を、今は密かに集めている。
トゲ鉄球を振り回せるようになった今になってみると、これはこれで魅力的だと思ったのだ。

窓際に置かれた10個以上の鉄球たち。
日中は陽光を吸って、熱いくらいに室温をあげるので、
テーブルクロスで覆って隠してしまっているけど、夜になると、静かにそれを取り去ってみる。

すると、月光をまとわりつかせ、彼らは思い思いに輝きを返す。
静かに美しさを漂わせるその景色をみながら、いつの間にか眠ってしまうのが最近のお気に入り。
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「夢をかなえよう」そう思って、屋上にのぼった。
鎖付きの棘鉄球はちゃんとあったのだ。『従属種ヴァンパイア』の装備品として。
アビリティをみても、本業であるファイアフォックスとの相性はいい。迷う要素はどこにもなかった。

屋上に行って、言われるがままに目をつぶると、冷たい液体を頭から振りかけられる。
この匂いは、血液。私が被ってきた血は常に生暖かい返り血ばかりだったので、少し新鮮だ。

そして、目を開ける。私は従属種ヴァンパイアの力を身につけていた。
その日の夜、さっそく「レベル33鎖付き棘鉄球」を装備し、裏庭で振るってみる。
自分の思ったところに、棘の鉄球が風を切り裂きながら、自在に飛んでいく。
鎖が「ジャッ」と鳴って、伸び切る瞬間がとても気に入る。

夢がかなったのは、これがはじめて。こんなに清清しいものかと思った。
学園に入ってすぐ、『称号』を名乗れることを知った。
これは、見知らぬ生徒が私の名前と同時に目にするものだから、考えなくてはいけない。

「何か、目を引くような奇抜な名前がいいな」と思い、命名のヒントにでもならないだろうかと
学園で使用している『詠唱兵器一覧』を眺めていると、この文字が飛び込んできた。

『鉄球』

子供の頃、読んだ絵本の中に、たくさんの勇士たちがドラゴンに挑むお話があった。
その中のハイライトシーン、ドラゴンの王に挑む勇士たちの一人が持っていたのが、
とげとげの鉄球を鎖で繋いだモーニングスターだった。
さして、格好良く描かれていた訳でもないその勇士が、
それでも必死に戦っている様がその武器からは伝わってきていて、私はとても好きだった。

それで、私は迷いなく『鉄球姫』と称号を書き、学園に提出した。
そして後日、GTで鉄球を入手して、ひどく落胆することになる。

手に入れた鉄球は、黒くてピカピカ、トゲなんかひとつも付いていない、
砲丸投げに使うような正円の玉を模した詠唱兵器。
それがファイアフォックスの装備品だった。
はやとちりをした自分がとても情けなく、哀れな存在に思えた。

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